石油元売の変遷図


先日、出光石油と昭和シェル石油の経営統合のニュースが流れましたが、それに触発されて石油元売の変遷図を作成しました。「夏休みの自由研究」の第2弾です。

個人的な興味から作成したものですので、元売以外の会社の変遷も含んでいます。また、関連会社についてすべて網羅しているわけではありません。
統合前のグループ間の関係を見るために一部の会社について載せていますが、基準が曖昧なところはご容赦ください。(2015/8/29)


(A) JX日鉱日石の戦前
(B) JX日鉱日石の戦後
(C) JX日鉱日石の戦後(共同石油を中心に)
(D) 出光、昭和シェル
(E) コスモ
(F) 東燃ゼネラル、キグナス
(G) 太陽、富士、国際石油開発帝石
(H) JX+東燃ゼネラル→JXTG

2015/11/17

昨日の日経の朝刊で、JXと東燃ゼネラルの経営統合の記事が掲載されました。年内を目標とはいえ、まだ先の話ですのでこのことは反映させていませんが、この機に図を更新しました。
(B)とかなり重複するのですが、どうしても共石を中心にした図を別に作っておきたくて、その上で順番を入れ替えました。「出光、昭和シェル、コスモ」で1枚にしましたが、コスモを分割しました。また、富士を追加しました。JXの前身の一つである宝田石油が合併・買収した会社・組合・共同井は、数がかなり多いのですが、ほぼ確定できたと思われるので、変遷図から外出しの一覧表にしました。石油元売の定義にはかなり悩んだのですが、1949年に登録元売業者制度が発足したときの10社を基準に、業法廃止直前の1984年時点の情報とあわせて見やすくしました。

2016/12/31

コスモの組織変更を反映しました。
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出光の昭シェル株取得を承認へ 公取委、JX・東燃ゼネも
日本経済新聞 2016/12/19 14:18

 公正取引委員会は19日、石油元売り大手のJXホールディングス(HD)と東燃ゼネラル石油の経営統合と、出光興産による昭和シェル石油の株式取得を承認する。同日午後、発表する。
 JXHDと東燃ゼネは21日に開く臨時株主総会での承認を得て、2017年4月に統合新会社の発足を目指す。一方、出光は承認を受けて週内にも昭シェル株を取得する予定。これにより昭シェルとの合併に向けた動きが前進するが、創業家は反対しており説得を進める。
 企業結合審査を進めてきた公取委は午後4時に記者会見を開く。出光は承認を受けて週内にも英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS)から昭シェル株33.24%を取得する予定。株式を一方的に持たれることを懸念していた昭シェル側に配慮し、人事や事業など経営には介入しない。今後は合併に反対する出光昭介名誉会長ら創業家に協議の早期再開を呼びかける。
 一方、JXHDと東燃ゼネは臨時株主総会での承認を経て17年4月に統合新会社「JXTGホールディングス」の発足を予定している。売上高で約10兆円、ガソリンの国内販売数量シェアで50%を超える規模になる。()

2017/4/11

JXと東燃ゼネラルの経営統合を反映しました。従来の図A, Fには収まらないので、新たに図Hを作成し、統合前の変遷は簡略化しています。

2019/6/8

日本石油精製(株)釜屋堀工場が小倉石油店に買収された箇所を修正しました(図A)。経緯


【おまけ】YouTubeで古い鉄道映画を見ていたら、たまたま「石油配給株式会社」のタンク車を見つけてしまいました。画面右上、不鮮明ですが車体にそのように書かれています。
この会社は、石油配給統制株式会社が、戦後1946年に改称したもので、翌1947年には閉鎖命令を受けて解散(石油配給公団=特殊法人に改組)してしまうもので、ごく短期間しか存在しなかったものです。映画の公開は1948年ですが、その短期間に撮影されたものと思います。

ちなみに、当時は特殊法人(公社)である日本国有鉄道が発足(1949)する前で、映画の制作は「運輸省鉄道総局」となっていました(動画のタイトルにある「国鉄」は国有鉄道を意味するもので、おそらく日本国有鉄道発足前にも「国鉄」の呼称はあったのではないかと思われます。したがって、タイトルとして間違っているわけではありません)。(2016/1/10)


ほとんどは、現存各社のホームページや有価証券報告書によります。
また、渋沢社史データベースを利用しています。

上記のほか、下記の資料を参考にしました。いずれも、インターネットで無償で入手できるものです。

*1 帝国富源 石油宝典
*2 伊藤武夫/第一次世界大戦後の輸入原油精製 ─株式会社石油共同販売所の事例─ (立命館産業社会論集 第45巻2号 2009.9 p.15)
*3 大日本人造肥料株式会社五十年史
*4 内藤隆夫/明治期石油精製業者の製造・販売活動と原油調達―石崎製油所の事例― (東京経大学会誌 第279号)
*5 橘川武郎/太平洋戦争以前の日本におけるスタンダード・ヴァキューム・オイルの事業活動 : 七つの論点をめぐって (一橋大学機関リポジトリ 経営史学, 24(4) 1990.1)
*6 山岡暁/共同石油〈グループ〉の構造 (龍谷大学経営学論集 第47巻第3号 2007)
*7 内藤隆夫/明治後期〜昭和初期における中野家の原油採掘業と原油販売 (北海道大学 経済学研究 第59巻第4号 2010)
*8 野田富男/燃料国策と石油資源開発 -北樺太石油株式会社と帝国石油株式会社- (九州大学 経済学研究 第70巻第4・5合併号 2004)
*9 荻野正蔵/真珠湾攻撃を決断させた男 (K&Kプレス 2010)
*10 宝田二十五年史 (宝田石油株式会社 1920)
*11 秋田石油案内 図書 泉谷兵吉 著 (秋田鉱業時報社, 1918)
*12 村上太三郎伝 (九曜社, 1939)


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